い草畑から眺める阿蘇山
熊本の阿蘇山
阿蘇五岳大観峰からの景観は
釈迦の仰向け涅槃像に喩えられています。
(左が顔、涅槃像を 越え南外輪山まで直線で25Km。日本ではめったに見ることが出来ない景観)
左が顔、胸に膝見えてきませんか。
そんな阿蘇山の麓で作られている
畳の原料となるい草の視察に行ってきました。
畳を作っているい草
どんな様に作られているのでしょう。
い草は
イグサは「藺草」と書き、別名をトウシンソウといいます。
イグサ科の多くは多年草で、
温帯から寒帯に8属約400種、
日本には2属30種が自生しています。特徴は、細長い茎だけで葉が無く約1.6メートル程迄成長します。
い草は、農産物
食べ物を作るように土つくりからこだわって作っています。
当店の産直産地農家さんは
エコファーマーと呼ばれる農家さんで
減農薬はもちろん、肥料に土つくりに
環境の安心や、使う方の安心にこだわっている農家さんです。
そして、
世界で唯一農薬を使っていない
無農薬い草を作っている山本一さんの田んぼへ
山本さんの出会いは17年ほど前
うちの子供がアレルギーで悩んでいる時に
本当に安心できる畳ができないだろうかと
試行錯誤している時期に出会った
大切な農家さんです。
その当時は
毎日の草むしりに足を壊してしまったり
何度もやめようと思ったり
悩みながらの無農薬栽培。
当時の思い出も語りながらのお話でした。
無農薬を初めて
6~7年たった頃
生き物循環サイクルができてきたそうです。
雑草をオタマジャクシやタニシが食べてくれ、
い草にとっての害虫はカエルが食べてくれ
い草に蜘蛛が巣を作り、空からの害虫を駆除してくれ
あれだけ大変だった草むしりが、ある時期だけかってあげればいいとのこと。
生き物が循環を作りい草を守って生きていました。
田んぼには
今では珍しいジャンボタニシがたくさん。
い草は生き生きと生育していました。
そして
い草の生育時期
まず、い草の苗作りは8月頃に
植え付けられたイ草苗を
水田苗床に育苗します。
11月下旬に掘り出し、
本植え付け株用に根切り、株分け調整します。
調整された苗は12月上旬からイ草移植機等で植え付けします。
その後、5月上旬に『先刈り』と言われる作業を行います。
この作業を行う事により、イ草の根元まで日が当たり、新芽の発育を促進いたします。
先刈りされた後、新芽はどんどん成長するのですが、成長するにつれ倒れやすくなるので、30センチ角位の網を田んぼ全体に張り巡らせ、イ草が倒れるのを防ぎます。
6月下旬から7月中旬にかけ、収穫時期を迎えたイ草は刈り取られます。
い草刈り取りお手伝いへ
エコファーマー吉野さんはイケメンなのです。
い草は機械によって刈り取ります。
今年は台風の影響などでい草が倒れてしまいどうなることやら
心配しておりましたが無事刈り取ることができました。
青々としています。
コンテナへの積み上げ作業。
濡れているので重労働です。
一束で1畳分です。
お疲れさまでした。
刈り取られたイ草は、一度水洗いされます。
これは汚れや虫などを落とすと同時に、イ草の温度を下げる事により、製品の仕上りを良くする働きがあると言われているからです。
次は泥染めの作業です。
泥染めの仕方は農家さんによって工程が違い、
イ草を一束づつ水車式の機械で天然染土にくぐらせる方法と、
写真の様に、『カセット』と呼ばれる金枠に何束ものイ草を入れ、一気に天然染土の中に沈める方法があります。
泥に浸かっている時間はほんの少しですが、この作業によりイ草に『色・香り・光沢』が生まれます。
泥染めの次は乾燥です。
次は乾燥させます。
製品の耐久性や見た目を左右する大変重要な作業です。
乾燥させた後は、イ草を一定の束にしてから黒袋に入れて、湿気の影響を受けない所で、数か月寝かせます。
寝かせたイ草は、等級に分けて選別された後、畳表に製織されるのですが、
こちらの作業が畳表の仕上りを大きく左右します。
農家さんの性格や器用さ、人間性がものすごく製品に反映されます。
仕上がった畳表はキズがないかなどチェックをし、仕上げ検査をされた後、出荷されます。
以上、畳表が出来るまでの流れですが
熊本
毎年視察の度に
い草畑が減っていっています。
昨年度に比べると今年は30%減。
国産は、香りも耐久性も輸入物とは全く違います。
これからも貴重な日本の伝統、国産畳大切に伝えていきたいと思います。
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